2015年5月29日金曜日

アナポリスへ

メモリアル・デーの前日、桟橋で潮風にゆらゆら揺れるアメリカ国旗と船。

 アメリカの「メモリアル・デー」は戦没者を追悼する日であるほかに、その前後に三連休となるので、帰省したり小旅行を楽しむ人も多い休日です。メモリアルデー前日である日曜日はちょうど中日にあたり、ワシントンDC近郊は人が出払って道路なども空くので、日ごろ渋滞に悩まされる地元民にとってはちょっと遠くへ足を伸ばす格好のチャンスとなります。管理人らと犬の「コディ」も、メリーランド州の州都アナポリスへ行ってきました。




 チェサピーク湾にかかるチェサピークベイブリッジを渡って、反対側にあるという犬連れOKなビーチを目指しました。午前中の比較的早い時間帯だったので、今まで体験した事がないほど快適なドライブでした(いつもこうだといいのになあ)。




 着いたのはTerrapin Beach Park(テラピン・ビーチパーク)という海岸沿いに続くトレイルのある公園。同行の人間(♂)によると、このトレイルの向こうに小さなビーチがあり、犬達がオフリードにして遊べるという噂を聞いたのだとか。

 日本のヨシのような植物に囲まれた園内の小さな池は、汽水が流れ込む影響で独特の生態系があると聞きました。水面に目をこらすと背中のグリーンがきれいな、グッピーみたいな魚が泳いでいるのが見えました。写真に撮ろうと粘りましたが、かなりすばしこく仲間同士で闘争しており、上手く写すことはできませんでした。




 気温は約24℃。あまり暑くはない筈でしたが、日差しはかなり強く、コディはあまりやる気が出ないようでした。コディは、黒い毛に覆われているのでやはり暑さには弱く、ちょっとした日差しの元でもハアハアと息をしだしてすぐにくたびれてしまうので、気の毒になります。自分達の住んでいるバージニアの夏は結構暑いので今後元気にやっていけるか心配です。


ビーチに到着!大西洋の冷たい水が打ち寄せます。
犬をひもから外して、まだ誰もいないビーチを散策しました。



 初めて見る海に興奮したのか突然マッハで走り出すコディ。暑い砂をものともせずダッシュを繰り返し、その後一瞬で燃え尽きヘロヘロになっていた。日ごろ大好きでせっせと拾っている「木の枝」がこんなにあたり一面に散らばっているのも嬉しかった様子。突然降ってわいたこの富をどうしていいかわからないような雰囲気で、1メートル進むごとに新しい枝を拾っては捨て、拾っては捨て、典型的な成金のような行動をとっていて笑えた。

 ところでメリーランドといえばワタリガニの仲間「チェサピークブルークラブ」が特産品として有名ですが、ここのビーチで困ったのは、そこらじゅうに半分に割れたカニのなきがらが転がっている事でした。犬にとっては干物みたいで良い匂いがするのか、コディもたびたび拾い食いしようとして困りました。コディはとても食い意地がはっているので、食べ物に関して「Lieve It」のコマンドがききにくいです。人間(♂)によると、管理人が目を離したすきに砂まみれで正体のわからない「大人の靴下ほどの大きさのある」海産物の死骸を飲み込んでしまったとか(!)。また夜通しの下痢と夜泣きに悩まされるのだろうか。


そうこうしているうちに海坊主を発見しました!
アメリカにも居たんだな~。

節子 それ海坊主ちゃう 犬や

海面を割って現れたのはロットワイラーの女の子。
飼い主の投げる木の枝を泳いで取ってくるという、使命に燃えていた。
コディも、「かっこいいな~」と見とれていました。
遠くにさきほど渡ってきたチェサピークベイブリッジが見えます。

見よ!水泳で鍛えたこの肉体美。
自分も連休が終わったらプールで泳ぎたいと思います(抱負)



 久しぶりの砂浜とあって、ここまでの道のりを延々三脚・カメラと共に移動していた管理人は早々にくたびれてしまい(体力の衰えを感じた)、ビーチは早めに切り上げてアナポリス市街地へ移動しました。1600年代末ごろ、バージニアから追い出されたピューリタンの入植地としてスタートしたアナポリスは、現代は歴史、海産物、ヨットや船、そして海軍士官学校(United States Naval Academy)のある地として今日まで栄えています。上の写真の左端にも純白の制服に身を包んだ、士官候補生の方が写っていますね。アメリカの軍人達にとってこの学校で学ぶことは、大変名誉ある事とされているそうです。




 ダウンタウンのメイン・ストリート、その名もMain St.を反対側から見た眺め。遠くにスパ・クリークへと続くアリーナが見えています。この小さなアリーナは船から直にダウンタウンに降り立つことが出来たり、また水際に船でアプローチ出来るレストランなどがあることから、ボートやヨットの愛好家で常に賑わっています。


アリーナへ行ってみました。ヒトだけでなくカモも沢山いて賑やか。

綺麗な釣り船です。助手席にはブロンドの女性、ひゅ~ひゅ~。
SUZUKIの外付けエンジンが3つついていました。

こちらのエンジンはYAMAHAですね。日本の会社のエンジンは人気です。
後ろにちょこっと写っているボートは一隻5000万円近くするもの。
それを二隻とジェットスキー数台を繋げて、中学生くらいの女の子たちがパーティしていました。
その脇道ではホームレスが段ボールの切れ端を片手にうつむいていました。
アメリカの社会格差を強く感じる瞬間です。

見渡せば向こうにメリーランド州会議事堂。
1700年代末からずっと実用され続ける、アメリカ最古の立法機関だそうです



 食事は、これまた犬を連れていてもOKなパティオ席のある料理屋で。アリーナを囲むレストランのひとつフェデラルハウスにお世話になりました。店内も綺麗にリモデルしてあり結構いい雰囲気でした。こういう古いレストランにしては珍しく、メニューにはグルテン・フリーの品目にマークがしてあり、小麦粉アレルギーの人間(♂)にとっても嬉しかったようです。


ウェルカムドッグ



 アナポリスに来るといつも思うんですが、自分の住む北バージニアに比べて食費が安い気がします。今回、自分はクリーム・オブ・クラブというスープと、クラブケーキを食べましたが、これと同じくらいのものを北バージニアで食べたなら、20%くらい多く費用がかかる気がしました。これらの場所は車で1時間半くらいしか離れていないので、アナポリスが特別海が近いから・・・というわけでもなさそうだと感じます。




 道端の古いレモネード屋と、日差しに輝くレモンの箱を見ると、もう夏ですね。アナポリスには他にも犬連れOKな公園やスパがあると聞いたので、それらのためにまた訪れるのを楽しみにしながら帰路につきました。





2015年5月25日月曜日

コディ、ちょっと泳ぐ



 ワシントンDC郊外、バージニア州タイソンズ、オークトン、レストンに囲まれた三角地帯にLittle Difficult Run Stream Valley Parkというちょっとした公園があり、トレイル脇の沢で犬が遊べるという噂を聞いたので、週末、家の犬「コディ」と近所に住む友達の「デヴィ」を連れて行ってきました。二日前に降った雷雨のせいで沢は少し濁っていましたが、近所の人曰くここの水自体は湧き水がベースとなっていて比較的きれいなんだそうです。トレイルの入口から獣道を暫く歩いていって、日常の喧騒が消え、水の流れる音と小鳥の囀りしか聞こえなくなった所で犬をひもから外しました。あっという間に駆け出していって豆つぶのようになってしまった犬達↑。




 コディはこれまで水遊びしたことがなかったんですが、既にこのトレイルに何回も足を運んでいて勝手を知っているデヴィのリードで、すんなり沢におりて行きました。泥だらけになるから水の中でゴロゴロだけはしないでくれーっと思いながら見守っていましたが、当然のようにデヴィがゴロゴローっとして、次いでコディもゴロゴローっとやっていました。あなや。

 コディを見ていて思うのは、この犬はデヴィちゃんのやっている事はなんでもマネしたいらしいという事。コディは、水たまりの水を飲むのも、バーベキューのテーブルを漁るのも、野歩き中道を外れて草薮でバサバサーっとやってみせるのも、すべて彼女から教わっているのです。コディにとっての彼女は、いつもちょっとした悪事を教えてくれるスリリングな友達、という存在なのかもしれないですね。自分が通っていた人間の学校にも、確かにそういうキャラクターの人が居たような気がします。


デヴィ 「こっち、こっち」

「こっち、こっち」

 犬達が走り回るここの風景に、なぜかあの世を感じてしまった(笑)。管理人は、とくに精神的にアレであるとか、自殺願望があるとかでは全くないのですが、こうして天気が良かったり、森が美しかったり、花が満開になっていたりと、綺麗だなと思う日には「今日のような日こそ死ぬのには最適な日だな」と、ポッと思う事があります。この日もそんな「綺麗な日」のなかの一日だったように思います。いつになるかは知りませんが、自分が現世を離れる日も、こんな可愛いイヌ達が道案内してくれたとしたら、そんなに寂しくなさそうですね。今、書いていて自分でもかなり変な思考だよなと思うんですが、これはたぶん子供の時に「丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる」を見たせいでしょう(笑)。丹波哲郎はさておき、イヌが死者の道案内をするという寓話は世界各地にあるので、無意識に彼らをそういう目で見ている可能性もあります。




 同行していた人間(♂)が面白がって投げた木の枝を追って、ついに深みにぼっちゃんしたコディ。大きな前足でドボドボと、とにかく必死で水をかきまくる犬かき?を披露してくれた。沢に入るのは楽しいものの、肩まで水に浸かるのは本意ではなかったらしく、このあと彼の犬かき?を見る事はありませんでした。


拾った小枝はデヴィちゃんと「半分こ」。
水にぬれたコディは、犬というよりチュパカブラに似ていた。



 今日はこんなに穏やかな沢のせせらぎですが、本気を出せば大木をひっくり返すほどの力を持っていることが分かる場所。樹齢何百年もありそうな木が丸ごと流れの端に置き去りにされている姿はただただダイナミックで、根こそぎになったその木の上に多種多様な草が生い茂っている様子もかなり奇怪でした。今は、野生のバラがシーズンで、この根の上にも小さなバラが沢山咲いて辺り一面に良い香りが漂っていました。




 そんな「大自然のスペクタクル」はおいといてお互いと遊ぶことにしか興味のない犬達。このあとデヴィと別れて帰宅し、コディを念のため防ダニシャンプーでゆすいで餌を食べさせたところ、殆ど食べながら寝てしまいました。全身使って走り回り、泳いだりはしゃいだりしてかなりくたびれたようです。このアクティビティ、人間の方もけっこう歩き回らねばならないのでこれからの季節は大変そうですが、また来ようと思えるいい体験になりました。